特集
在学生・卒業生の声
その子にとってより良いケアを探求していきたい
日本赤十字社医療センター NICU勤務 看護学部2017年卒業 原田 沙紀さん
日本赤十字社医療センターは総合周産期母子医療センターの機能を持ち、私が勤務する新生児集中治療室(NICU)には、早産や低体重、重い疾患などのため特別な医学的管理を必要とする赤ちゃんが入院しています。NICUでは出生直後から母子分離状態になることから、両親の愛着形成を促すために、安定している赤ちゃんにはカンガルーケアÄsl157Äslmult0 (※1)をしたり、家族と一緒にホールディングÄsl157Äslmult0 (※2)やおむつ交換などのケアをしたりします。
看護師はお母さんよりも赤ちゃんに接する時間が長いので、赤ちゃんの様子や安定する方法を伝えるなど、本学で学んだ「関係を築く力」を発揮し、お母さんと赤ちゃんをつなぐ役割をします。1000グラム未満の超低体重の赤ちゃんの場合、お母さんは触るのをためらうこともあります。そんなときは「赤ちゃんはお腹の中でお母さんの声を聞いていたので、声をかけてくださいね」など、お母さんだからこそできることを伝えるようにしています。
また、NICUには高度な医療を必要とする急性期の赤ちゃんが多いため、保育器や呼吸器、モニター類などさまざまな医療機器が備わっており、担当医だけでなく臨床工学技士や放射線技師など多職種と「連携する力」は欠かせません。病棟心理士とも連携し、ご家族に一番近い存在としてその心的状況を把握し、共有するよう努めています。
看護師になって3年が経とうとする今でも、まだ知らないことや新たに知ることはたくさんあります。早産や超低体重の赤ちゃんは繊細で、血圧測定や体位交換などのケアによって血圧が下がったり、呼吸が不安定になるなど、自分の行ったケアがそのまま返ってくることに命を預かる責任の重さを感じます。その一方で、呼吸が安定してミルクが飲めるようになったり、退院したお母さんが「こんなに大きくなりました」と赤ちゃんを連れてきてくれたりすると喜びとともに大きなやりがいを感じます。これからもその子にとって良いケアを「探求」「実践」し、経験を積んでさらに「成長」したいと思っています。
※1 互いの肌が触れ合うように赤ちゃんを抱っこするケア
※2 赤ちゃんの体全体を両手でやさしく包み込むこと