さいたま看護学部
さいたま看護学部(大宮キャンパス)の特徴「コミュニティケア」とは?地域×授業の魅力を紹介
さいたま看護学部(大宮キャンパス)の特徴である「コミュニティケア」とは?2年次で学ぶ「コミュニティ演習」の授業の一部を紹介します。
この授業では、地域で活動中のフィールド(コミュニティ)を1つ選び、同じフィールド(コミュニティ)を選んだ学生同士がグループとなって訪問し、どのような活動をしているか、コミュニティが生まれたきっかけや抱えている課題等を徹底調査します。それを持ち帰り、調査内容を資料にまとめ、「フィールドワーク全体報告会」でグループごとに発表します。今年は2025年1月17日(金)、さいたま看護学部本館の301講義室・302講義室で報告会が行われました。グループ発表は10分、質疑応答は5分、進行はすべて学生により進められ、16のフィールド(育児グループ、認知症カフェ、子供食堂等)の報告発表がありました。
各グループは限られた発表時間の中で緊張しながらも、プレゼンテーションソフト(パワーポイント)を使いながら説明していました。学生はこの報告会の為に、グループの中で役割分担し、冬休みも利用して準備されたそうです。
発表会当日、「多文化子育ての会Coconico」を訪問した学生の感想
・さいたま市にある「多文化子育ての会Coconico」は、日本で暮らす外国出身の親子が交流できるコミュニティです。韓国出身のお母さんが教えるキムチ作りの会や、各々の母国語で行うおはなし会等、イベントを通して日本語を学びながら交流を深めています。インド、中国、フィリピンの方が多いそうです(参考に、現在さいたま市内の外国人人口は3万人を超えます)。
・このコミュニティの目標は、多文化的な子育てを支援し、異文化交流を活性させ、自分らしく安心して子育てできるよう支援すること!
・アフガニスタンの親子と接して、子どもは日本語が話せるけど、お母さんは日本語が未熟なため、子どもを通訳として介さないと理解できない場面がありました。子どもは学校で日本語を教わることができますが、お母さんは学ぶ機会がありません。お母さんも学べる場所は必要だと感じました。
・外国人だからと言って、英語が共通語ではないことに驚きました。英語が通じない事も意外でした。
・1995年の阪神・淡路大震災の際、地震発生時の緊急速報や避難指示を理解できないまま、多くの外国人が被災しました。それをきっかけに、外国人にも迅速に正しい情報を伝えるための手段として「やさしい日本語」の取り組みが始まったそうです。Coconicoは「やさしい日本語」を広める場であり、訪問した際に講義を受け、知ることができました。外国人のお母さんの共通言語となり、子育ての情報交換や孤立を防ぐ大切な場となっています。
「多文化子育ての会Coconico」を訪問した学生から全体を振り返って、学んだこと、気づいたことを教えてもらいました
Wさん(2年生)
「やさしい日本語」を看護への活かし方について考えました。医療機関を利用する海外の方にとって、難しい言い回しや説明が多いことは、正しいケアにつながらない可能性が高まります。「やさしい日本語」の講義を受けた際、例として「座薬」という言葉を見た海外の方が、座りながら薬を飲みこむものと勘違いした、と話を聞きました。海外の方が理解しやすい説明を行うのは大切です。また、海外の方だけでなく、子どもにも有効的だと考えました。正しい情報を理解してもらうことで治療の円滑化が期待できます。
Tさん(2年生)
フィールドワークを通して、多言語、多文化に触れることで、日本では当たり前すぎて説明を省いてしまうことで、より混乱させてしまうことがあること、信仰や料理を通してその国なりの優しさや気遣いがあることに気づきました。このことから、多言語・多文化に触れることで、新たな視点を身につけることができると学びました。
Mさん(2年生)
外国人には日本語が難しく、日常生活や仕事、子育てなどで困ることが多いことから、「やさしい日本語」が必要です。特に災害時や役所での手続き、医療の場など、重要な場面で役に立つと考えられます。日ごろから「やさしい日本語」を使うことで、地域に住んでいる外国人とのコミュニケーションが増え、関わり合うきっかけとなったり、防災や減災にも繋がることができます。多様な背景を持つ人々が共存できるような避難所コミュニティの枠組みを構築することで、固定概念に固執することなく、外国人被災者の孤立や情報弱者を防ぐことができると考えます。
Kさん(2年生)
外国人の親は日本語を学べる場や機会が少なく、子どもの方が上達が早いこともある。親は情けない気持ちになると同時に子どもは親を自分よりも出来ない人と認識してしまうことがある。しかし、親としての存在は単に日本語の能力では図れず、その人の築いてきた経験や知識がある。Coconicoでは、自身の得意な国の料理を作る会を開催したり、自身の国の言語を他者に教えたり、親達が活躍できる場を作っており、それは子どもにとっても親を尊敬するきっかけとなる。親としての尊厳は重要でありそれを支えることは大きな意味を成すと考える。
Yさん(2年生)
フィールドワークを通じて、親たちが自国の文化を大切にしながらも、他者の意見や経験に耳を傾け、お互いに支え合う姿を目の当たりにした。このような交流は、親たちにとって「自分の力を信じていいんだ」という気持ちを生み出すエンパワメントに繋がっているのではないかと考えた。また、子どもにとっても親の活躍の場をみることで「人と違って恥ずかしい」という感情から「自慢の親」として親への尊敬につながったという実例があったそうだ。親だけでなく子どもにも良い影響を与えている。言葉や文化が異なる環境で育児をしている親子たちにとって、このような支え合いの場(コミュニティ)が持つ意味は非常に大きいと感じた。
まとめ
2年次で学ぶ「コミュニティ演習」では、地域の住民が主体となって活動するフィールド(コミュニティ)を直接訪問することで、自分が看護職者としてどのように健康づくりをサポートできるのか、貢献できるのか、考えを深めることができる授業です。コミュニティをケアするためにはコミュニティを知ることから始まります。
一人で不安を抱えるのではなく、地域の人が力を合わせ一緒に乗り越えることができるのもコミュニティの強みです。コミュニティが抱えている課題に対して、地域の人が協力し合って生きていくことに学生は関心を持っていました。「コミュニティ演習」のフィールドワークで得た様々な気づきは、自分がなりたい看護職像に影響を与えたようです。
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