おたよりリレー 城所 環さん(修士課程25回生)
城所 環さん(修士課程25回生)
日本赤十字広尾訪問看護ステーション
看護師長
大学院30周年に寄せて
日本赤十字看護大学大学院30周年おめでとうございます。
私は、暮らしの場でどのように看護が展開され継続されてゆくのか、生活する人々の健康を支える仕組み、専門職同士の連携について知りたいと思い、大学院では地域看護学を専攻しました。考えがまとまらない、定まらない、先生の問いに答えられない、堂々巡りだった研究の過程を石田千絵先生、吉川悦子先生に最後まで見守って導いていただき修了することができました。
大学院は、臨床を離れ看護と向き合う機会が得られだけでなく、様々な分野の情報や知識にも触れることができ、またゼミを通したくさんの仲間と知り合うことができました。気軽にたわいのない雑談から看護理論や倫理観にまで話が広がり、本当に様々な話題で話は尽きることがなかったことが思い出されます。看護以外の本や文献を読む機会になり、視野や考え方の広がりが実感できました。時流の言い方をすれば「ととのう」という感覚でしょうか。そして博士課程の先輩方との合同ゼミでは、これまでの知見や研究手法の選択など、研究プロセスを学べた有意義な時間だったこと、しかしその半面緊張感も高かったことを今でも覚えています。講義のない時期は、認知症カフェ、福祉、老健など施設体験、訪問看護師に同行するなど今までに経験のないフィールドにいく機会を作りました。大学院では、自分でどのように学びを広げていくか、型に嵌めない自由さがあり自分に合っていたように思います。
現在、私は訪問看護の実践者として経験豊かなスタッフと共に自転車で駆け巡る日々を送っています。地域で暮らす人々の心身の健康について看護の目線で考え、障害や疾病がありながらずっと居たい場所で生きることを支えられる看護があることを実感しています。