おたよりリレー 髙橋 さおりさん(修士課程23回生)

髙橋 さおりさん(修士課程23回生)

助産院SAKURA SALON
代表

大学院開設30周年おめでとうございます。

 私は看護師の時、いつか大学院で研究したいけれど、何を専攻にするか悩んでいました。当時、ターミナルの方をお看送りすることが多く、家族のように関わるけれど、医療者ゆえに家族のようには悲嘆の過程は辿れない現状と、お亡くなりになられた患者さんやご家族に会いたくなったとき、会えない寂しさを感じることがありました。
 これからの看護師人生を考えた時に、闘病を支える専門家になるよりも、出産後もお子さんの成長を見守りながら長く関わり、家族看護を探求する助産を専攻しようと考え、助産師になることを決めました。
 助産師資格の取得と研究を並行できる大学は他にもありましたが、他大学では「二兎を追うものは一兎も得ず」と後ろ向きな言葉をかけられることもありました。母校の教授からは「来年、大学院で研究する自分と臨床にいる自分、どちらがワクワクする?」と聞かれ、自分の探究心を肯定し、夢を応援してくれる環境に身を置く方が自分は飛躍できると確信し、母校に決めました。
 院生時代は、成長痛の連続でしたが、豊富な経験と高い志を持つ同志とディスカッションしながら研究に没頭できた時間は、人生の宝物です。修了後は総合周産期母子医療センターに勤務し、看護師の経験も生かしながら、合併妊娠や産科救急のケアに努めました。
 夫の転勤でアメリカ移住し、現地では妊娠産後の相談会や訪問をしていましたが、昨春に帰国し、世田谷区で出張とオンライン専門の助産院を開業しました。どこに移り住んでも継続して母子をサポートできる土台づくりに励んでいます。
 海外移住や出産、臨床から地域での活動、オンラインサポートなど、様々な経験をしたことで自分の視野が格段に広がりました。これからも出会う方々を大切にしながら、看護を探求していきます。
 教員の皆様、高い志を持ち熱く議論した同志に深く感謝の意を申し上げます。
 日本赤十字看護大学大学院の今後ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

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