おたよりリレー 腰原 麻衣子さん(修士課程16回生)

腰原 麻衣子さん(修士課程16回生)

日本赤十字社医療センター
がん看護専門看護師

日本赤十字看護大学大学院開設30周年おめでとうございます。

 私が大学院に進学したのは、緩和ケア病棟で看護の楽しさややりがいを実感したことや、後輩とのコミュニケーションに行き詰まりを感じていたこと、当時の職場の上司が進学を勧めてくれたことがきっかけでした。
 最初は基礎看護学の専攻でしたが、当時教授だった守田美奈子先生から今後のキャリアを見据えたコース選択を考える機会をいただき、がん看護学に専攻変更し、がん看護専門看護師を目指す学びが始まりました。
 大学院では看護だけでなく、今まで知らなかった分野の知識や世界にも多く触れ、さらに、様々な領域の同期生や先輩、先生方との交流を通して感性が刺激される経験をたくさんしました。ですが、大学院の思い出を一言で表すと、「とにかく苦しかった」に尽きます。自分の思考を言語化することがなかなかできず、専門看護師を見据えた実習でも思考の混乱を極め、ひたすら暗闇の中を彷徨っているような感覚で毎日を過ごしていました。無事に修了できたのは、仲間や先輩、先生方の励ましと支えがあったからこそで、今でも感謝しかありません。
 大学院修了後は元の病院に戻り、医療相談や退院支援を担う部門に配属されました。他部門・他職種・他施設のスタッフとのやりとりや相談を受ける機会が格段に増え、最初はかなり戸惑いましたが、“思い込みを手放し、幅広い視点で物事を考える”ことをはじめとした大学院での学びが要所要所で役に立ちました。修了から1年半後にがん看護専門看護師の資格を取得し、現在は緩和ケアチームの専従看護師として従事しています。
 大学院での学びは探求がベースなので、学びの深さは計り知れず、見える世界は広がり、確実に自己の成長につながるものがあると思います。専門看護師としての活動は困難や苦悩が日常茶飯事ですが、苦しさも含めた大学院での経験は、今もなお、私の糧となっています。

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