おたよりリレー 佐藤 今子(修士課程10回生)
佐藤 今子さん(修士課程10回生)
日本大学板橋病院
外来師長 慢性疾患看護専門看護師
わたしは2004年に成人看護学修士課程を終了し、大学病院の内科混合病棟→院内研修担当者→内科病棟で勤務しました。わたしの大学院入学時には慢性疾患看護専門看護師はまだ設立されておらず、その後働きながら課目履修を母校の多くの先生方のご指導、ご支援の下10年かけて行い、2018年に慢性疾患看護専門看護師を取得致しました。
修士課程を修了後、一番驚いたことはわたしにとって入院している方々の言動や行動、その人を取り巻く環境の情報から対象理解をすることができるようになったことでした。修士課程に入学以前のわたしは呼吸器病棟で勤務していましたが、呼吸困難感やがん性疼痛が緩和できず亡くなる方を目の前に自分がこの方々の最期に関わる看護師として存在しても良いのだろうか、と悩むことも多くありました。そういった自分の感情さえも言葉にできないもどかしさや無力感を感じていました。
修士課程に進学し、様々な領域の看護学や看護研究を学び、ひとつ一つの概念を理解し、研究論文の文献検索のため多くの大学の図書館へ足を運び、海外文献も電子辞書を使用しながら寝食も忘れて勉強することもありました。修了後も臨床で疑問があると文献を検索しては、医師とディスカッションを繰り返し、お互いに納得するまで患者さんについて話し合うための言語を得ることもできました。これらは修士課程で学びを深め経験値だけでなく、根拠に基づいた看護実践が現在の専門看護師としての活動に大きく影響していると実感しております。
現在は糖尿病や腎疾患、膠原病、循環器、呼吸器疾患、慢性疼痛と幅広く慢性疾患の方々の生活者としての視点を持ち看護に携わり、ケアシステム、看護外来の設立と実践などの活動もしております。医師や看護師からの相談が多くありますが、特にわたしは臨床現場の看護の質の向上を目指し相談できるリソースナースとして教育を大切にしています。これからも日本赤十字看護大学大学院の卒業生として誇りと自信と向上心を持ち、日々多くの人々に信頼される質の高い看護実践ができる看護師の育成を努力していきたいと思っています。