おたよりリレー 北 素子さん(修士課程4回生)
北 素子さん(修士課程4回生)
東京慈恵会医科大学
医学部看護学科 教授
大学院開設30周年おめでとうございます。
今回このような機会をいただき、改めて学生時代を振り返り、とても懐かしい気持ちでいっぱいになりました。この場を借りて、当時の諸先生方や関係者の皆さま、同級生や諸先輩方に感謝申し上げます。
私は1996年春に京都から上京して修士課程に入学し、修了後そのまま博士後期課程に進学、合計5年間在学し、2001年に博士の学位をいただきました。
私の所属は修士・博士と一貫して成人看護学領域で、黒田裕子先生に師事し、研究者としての核を育てていただきました。修士課程では様々な背景を持ち学ぶ意欲に満ち溢れた20人の仲間と2年間を共に過ごしました。在学中に体験したすべてが宝物です。
在学中の5年間は、まさに「悪戦苦闘の中から知的好奇心とその充足過程にかすかな楽しみと喜びを感じ取り、それをエネルギー源に希望と勇気、情熱をもって学問の世界に果敢に挑戦する」(稲岡, 1998,p.94)ことを学んだ、濃密な時間でした。今でも様々な出来事・場面が鮮明に思い起こされますが、あえてひとつを取り上げるなら、1年前期で全員が必修履修した樋口康子先生の授業です。一巡目はグループで各自が追及課題としている看護現象についてディスカッションしテーマを決めて発表、二巡目は院生同士ペアになって関心のある看護理論を取り上げて看護現象を理論的科学的に考察して発表する、というものでした。みな必死で準備し、発表当日は緊張マックスでしたが、鋭い質問が他の学生から、そしてなによりも緊張を突き破るような鋭い問いかけが樋口先生からあり、ディスカッションが深まっていくという具合です。その時作成した資料、仲間が作成した資料、そしてディスカッションの議事録はすべてファイリングし私の研究室の本棚に大切に保管しています。
現在は教員として院生たちに関わる立場になりましたが、自分が体験した学問に果敢に挑戦し続ける楽しみと喜びを伝えたいと、精進の毎日です。
改めて母校、日本赤十字看護大学大学院の開設30周年をお祝いするとともに、今後のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
稲岡文昭(1998). 貪欲な知的好奇心を.日本赤十看護大学, 学生便覧(p.94).東京