おたよりリレー 寳田 穂さん(修士課程3回生)

寳田 穂さん(修士課程3回生)

武庫川女子大学 看護学部
大学院看護学研究科 精神看護学分野 教授

 30周年おめでとうございます。 
 私は、精神保健看護学領域にて、1997年度に修士課程を修了、2007年3月に博士号(論文博士)を授与いただきました。修士修了後は、精神科病院で看護師として勤務し、それ以後は看護系大学で教員をしています。修士課程へは、臨床や教育の場での疑問や困難感から救いをもとめる気持ちで進学しました。修了後に、精神科病院で看護師として勤務しましたが、看護現場での考え方、感じ方が、変化している自分に驚きました。日赤で学んだことで、こんなにも、現象の見方、考え方、感じ方が変わるのかと。 
 大学院で何を学んだか思い浮かべてみると、おそらく知識はいっぱい得ることができたと思います。しかし、30年近く前の知識が、現在にそのまま通用するわけではありません。覚えるだけの知識では何の役にも立たないのです。おまけに、歳を重ねるとともに、どんどん記憶力は低下し、思いだせない知識が多くなります。では、何を学んだのか。教員との対話、実習先の人たちとの対話、同級生との対話、そういった様々な人との対話を通し、物事の見方、考え方、感じ方等を学んだと思います。特に、精神保健看護学のゼミや、論文の指導を受けるプロセスを通して学んだことが、現在の私自身にとっても大きな影響を与えています。 
 最も大切な学びは、人が成長できるには、安全感や安心感がとても重要だということです。それは、精神看護においても、本質的なことだと思います。修了後も、看護や看護教育の現場で、何かと困難は多々ありますが、当時の先生方や同級生は、私の心の中で安全で安心できる存在として内在化し、今なお私を支えてくれています。自分が生きる上で、看護に携わる上での核となる部分が養われたのだと思います。心より感謝申し上げます。 
 今後も、日本赤十字看護大学大学院が、ますます発展されますよう、お祈り申し上げます。 

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