おたよりリレー 常盤 文枝さん(修士課程2回生)

常盤 文枝さん(修士課程2回生)

埼玉県立大学
保健医療福祉学部看護学科 大学院研究科 教授

大学院開設30周年 感謝を込めて

 大学院開設30周年、誠におめでとうございます。
 私が大学院に進学したきっかけは、学部の恩師の一言でした。大学卒業直前、卒論が思うように書けず気落ちしていた私に、指導教員の中西睦子先生が「今度、大学院ができるから。あなた、戻ってきなさい。」とお声かけくださいました。私が卒業する時は、大学院開設の準備段階でしたので、おそらく、卒業生全員に声掛けくださったのだろうと思いますが、その時の私にとってはまさに光明でした。そして、いつもの私ならばそのまま社会の荒波にもまれて、すっかり受験のことを忘れてしまったかもしれないのですが、幸運にも、大学で英語論文の抄読会を開催してくださり、同じように看護をさらに学びたいという仲間からの刺激も受けて、無事に修士課程に進学することができました。
 当時は、旧校舎と旧学生寮の間の小さなプレハブが私たちの研究室でした。2回生は、多くの人がいったん勤務をやめて学業に専念していましたので、とにかくよく研究室にみなおりました。そして、数人集まれば、答えのない問いについてよく議論をしていました。あの時は、結論を導き出すということよりも、議論そのものを本当に楽しんでいた気がします。
 現在、私は自分が育った埼玉県で、看護学の教育・研究にあたっています。私の研究室には、いまでも修士課程の時のノートやメモがたくさん残っています。読み返してみると、今の私には理解できない難解なものも多々ありますが、本当に懐かしく、大切な宝物です。そして自分が大学院生を指導する立場になって、当時の先生方の思いやお考えが少しわかってきたような気がしています。大学院に進学することは、人生においてはまわり道になることもありますが、この体験は確実に現在の私の肥やしになっています。あの時に巡り合えた、すべての先生方や仲間に感謝の気持ちをお伝えしたいです。今後も母校の益々のご発展をお祈りいたします。

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