おたよりリレー 谷口 好美さん(修士課程1回生)

谷口 好美さん(修士課程1回生)

金沢大学 医薬保健研究域保健学系 看護科学領域
老年・リハビリテーション看護学 准教授

 大学院30周年,誠におめでとうございます!30年前,私は日本赤十字看護大学の修士課程1回生でした。現在は,金沢大学で老年看護学の教員です。修士課程で学んだことが,自分にとって大きなターニング・ポイントでした。個人の思い出がお役に立てば光栄です。
 まず,1993年の入試のこともよく覚えています。試験会場の窓に満開の桜がきれいでした。入学は5月なので在籍は1年11カ月と短期間でしたが,それまでの価値観が一新される体験の連続でした。北陸の大学病院の看護師が,大学院に憧れて入学したものの,なかなか成果が出ない,プレゼンテーションや討論がうまくいかない,先生方からの鋭いご指摘に立ち往生するなど,都合よく詳細は忘れても,失敗体験が多かったことは間違いありません。
 同級生の方々からは,専門分野や年代も垣根なく接して下さり,ずいぶんと助けていただきました。大学周辺の環境も緑地も多かったので,大学院で熱くなった後は広尾駅までの長い坂道や,有栖川宮記念公園を散策してクールダウンもしていました。入学3か月目頃にトンネルを抜けたような,やっていけるかもと,何の根拠もないのですが楽観的になれたことも覚えています。何か困難を乗り越えた瞬間だったのかもしれません。
 基礎看護学を専攻していたので,樋口康子先生,小玉香津子先生,黒田裕子先生がご指導を下さいました。看護理論家のマーサ・ロジャース,哲学者の田邊元など初耳でしたが,看護と関連付けて教えていただいたことも懐かしいです。直観やエネルギーの場など,当時訳がわからなかったことを,理論の授業で今度は伝える側となり,この頃にジャンルを超えて科学哲学や心理学で多くの書籍に親しんだことが元になっています。専攻以外の先生方も,院生のためであればと,時間を割いて抄読会などでお付き合いもして下さいました。思い出されるのは,1回生だから受けた恩恵の日々でした。ありがとうございました。

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