看護管理学領域

看護管理学領域 概要

革新的かつ創造的な看護管理者や看護管理学研究者の育成を目指す

看護管理学の基本概念や理論の学習,演習,実習を通して,革新的かつ創造的な看護管理者や看護管理学研究者となる素養を養います。学内授業では,看護管理学のテーマに沿ったプレゼンテーションを中心に学習していきます。また,実務を継続しながら学習・研究ができるように支援をしています。

看護師,看護管理者,多職種等を対象とした研究を行う院生が多い印象です。看護サービス管理,経営,政策に興味のある方,疑問への解決方法を見出したい方など,学習意欲のある方々を望んでおります。

研究指導教員

安部 陽子

日本赤十字看護大学 教授(看護管理学)

私は日本赤十字看護大学を卒業後,米国ミネソタ州にあるミネソタ大学で修士課程・博士課程を修了しました。大学生の頃から看護職の職場環境に興味があり,ミネソタ大学ではオリジナルのマグネット・ホスピタルで看護部長をしていた教授の下で学びました。

学内では組織行動学,看護政策論,研究関連科目などを担当しています。「楽しく学ぶ」「挑戦する」をモットーに実践に役立つ授業を行っていきたいと考えています。

□著書
 看護職とハラスメント:
  サバイバー”の語りから見えてくるもの (Nursing Today ブックレット 21) 
  実態調査班 編
 安部陽子・末武友紀子・御輿久美子・杉林稔・中澤瞳・坂井志織 著
 日本看護協会出版会 2023年07月発行

領域の特色

教育活動

実践コースと研究コースがあり,推奨される履修科目が異なります。
授業では院生の主体性を尊重しながら,発表・討議・フィールドトリップ等を通して学習を深めていきます。
実習では組織分析・戦略立案・リコメンデーションを実施します。また,研究計画の実現可能性や自己の看護管理課題の解決策を探求します。

修了生からは多くの職場のリーダー,看護部門のトップマネジャーが誕生しています。
43名が日本看護協会 認定看護管理者(Certified Nurse Administrator)に認定されました(2023年現在)。

◆院生の一年

・入学時には領域歓迎会でお祝いです。

 

 

 

 

 

 

・広尾散策などで交流を深めます。

・論文提出は静かに祈り,卒業をお祝いしました。

◆フィールドトリップ・実習

病院管理論では,病院建築の視点から療養環境・患者安全・看護ケアシステムを学び,病院見学をして病院の設計を行います。
看護管理学演習では,地域特性に合致した保健・医療・福祉関係事業の計画・展開・評価を行い,地域特性に即したサービスの創造について理解を深めます。

2022年は大人の絵本読み聞かせ企画でした。

◆実習とリコメンデーション

看護管理学実習Ⅰでは,これまでの人的資源管理・経営管理・地域連携の知識を活用して組織を分析し,リコメンデーションを行います。
看護管理学実習Ⅱでは,自分の研究課題や実践課題について実習施設から学びます。

研究活動

◆学会発表・交流集会の開催

看護管理学の視点から,問題解決の一助となる研究を行うための基礎的能力を身に付けます。そのため,それぞれの院生が実践の中で抱いた問題意識を大切にします。文献レビュー,研究計画書の作成,研究倫理審査委員会への書類提出,研究の実施,発表資料の作成,論文執筆まで,院生の希望に応じて丁寧に指導しています。

□第43回看護科学学会学術集会
 

□第42回看護科学学会学術集会 交流集会
 テーマ:中間看護管理者の経験を踏まえて考えるwith/afterコロナのケアサイエンス
 話題提供の皆様,ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

◆合同ゼミでの意見交換

1年に2回程度,土曜日の午後,本学の院生を中心に修了生と共に看護管理学領域合同ゼミを行っています。院生による研究の発表や,修了生による看護管理実践の報告を基に意見交換を行います。

社会貢献と実践

院生と修了生での看護管理学領域合同ゼミでは,修了生の看護管理学の知識,看護実践についても情報をいただき,相互交流の場として活用しています。

院生・修了生の活躍

柳澤 篤志

2021年 修了生

私は本大学を卒業後,日本赤十字社医療センターの救命救急センターで勤務をし,その後,消化器外科,特別個室病棟を経験して大学院に進学しました。現在は看護部教育企画室を経て救命救急センターEICUの副看護師長として勤務しています。
大学院の1年目は休職して必須科目に加えて興味のある科目も履修しました。管理の授業はそれまで深く考えてこなかった内容が多く,特にトップマネージャーの視点で物事を考えることや,看護をより良くするために政策を考えることはとても新鮮で,学ぶことがとても楽しかったです。
2年目は働きながら研究を進めました。研究をまとめるにあたって論理的に記述することの難しさを痛感するとともにとても多くの学びを得ることができました。
本大学院は全領域が一つの院生室で学んでいるため,他領域の学生との交流も多くありました。院生室でさまざまな領域の学生と看護について語り合っていたことが,自分の看護観を見つめ直すきっかけにもなったと思っています。
今は大学院での学びを実践に活かし,困った時には大学院で読んだ本に立ち戻って課題解決のヒントを得るようにしています。今後も学び続けることを忘れずに変革できる管理者を目指していきたいと思います。

合澤葉子

2019年度 修了生

私は、医療を取り巻く環境が大きく変化していく中、看護管理者として成果を上げていくことに限界を感じ,問題解決能力,先見性を持ち現状把握する力に課題があると考え,大学院進学を決意しました。
在学中は,看護管理の視点で問題解決する基礎的能力を身につけるため,広く本を読むことを心掛けました。医療・看護の領域に拘らずに触れることで,物事を俯瞰する力や環境を自分の視点で解釈する力が備わったように思います。講義では問題解決の手法のみならず,思考の仕方が分かるようになり,視野が広がる感覚を持ちました。特に看護管理学実習では修了生の施設をフィールドにして,組織分析・戦略立案・リコメンデーションをする,実践に即した貴重な機会を得ました。多角的な視点で臨床を見ることで,問題が立体的になり,解決へのアプローチはいくつもあるという可能性を感じたのが大きな学びでした。
臨床現場に戻ると,まもなく感染症との戦いが始まりました。前例のない判断の繰り返しで,実践評価が困難な時期もありました。この間,チーム医療では看護管理者の倫理観や行動が医療・看護の質に影響を与えるという自身の研究テーマの思考と行動を心掛けていました。不確かな中でも考え抜き,次に繋がる成果を見出せたのは,大学院での学びが土台であることは確かです。これからも医療・看護ニーズを広く把握し,看護管理者として時代に即した成果を探求していきたいと考えています。

大学院30周年記念 特設サイトの卒業生・院生

学位論文テーマ

博士論文テーマ

  • 組織構造の改革における急性期病院の看護師長の経験:病棟再編に焦点をあてて
  • 糖尿病性腎症を有する高齢患者の透析導入に伴う移行に関する見通しとその関連要因
  • 看護師長の看護管理能力測定尺度の開発と関連要因の検討
  • 現任教育の一環として臨床看護研究を行った看護系大学出身の中堅看護師の経験

修士論文テーマ

  • 部下による医療事故が起こった看護単位を管理する看護師長へのサポート
  • 日本語版Nurses Workplace Scale (NWS)の開発と検証:看護師の被抑圧者集団行動の測定
  • 病院に勤務する看護師のワークエンゲジメントに関連する要因:Job Demand Resources Modelを基盤としたモデルの検証
  • 看護師長のレジリエンスと特発的自己効力感の関連
  • 育児短時間勤務看護師が複数勤務する病棟の看護師長が安全な医療・看護を担保するために行った取り組みとその取り組みに影響を与えた出来事
  • フルタイム勤務看護職における短時間勤務看護職との協働意識に関連する要因:個人属性および職業性ストレス、組織市民行動に焦点をあてて
  • 看護職のメンタリングとキャリア成熟との関連
  • 認定看護師の資格を持つ中間管理職のキャリア選択の過程
  • 看護主任の役割開発活動と看護師長の支援の関連
  • 看護のトップマネジャーが人的資源配置を検討する意思決定モデル
  • 院内迅速対応システム(Rapid Response System:RRS)が定着するプロセスにおける障壁
  • 病院で就業している女性中高年非管理職看護師のキャリア形成のプロセス
  • 急性期病院における看護師長同士の関係性の看護管理への影響
  • 中規模病院の副看護師長が看護管理経験から得る学び
  • 地域医療支援病院の外来看護師長が語る外来看護の課題と対応
  • 病院内委員会活動に参加する25歳から34歳の女性看護師の役割に対する認識
  • 中小規模病院のトップマネジャーが考える看護師長に昇進させたい人材像とメンタリング
  • 造血幹細胞移植チームの医師と看護師間の倫理的問題と看護師長の対応に関するナラティブ研究

研究協力お願い

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